皆さんはデジカメで撮影したデータをどのように保管しているだろうか。
パソコンのHDDに移したり、DVDやBDといった光ディスクに書き込んで保存している人が多いだろうと思う。 その際、その保管しているデータに対するさらなるバックアップは用意しているだろうか。
デジタルデータというものは便利な反面、ちょっとした要因で丸ごと全部読み出せなくなる場合がある。 中にはHDDが突然アクセス不能になって中身のデータが丸ごと失われた、という経験をしたことがある人もいるだろう。 DVDなどの光ディスクに保存していたものを久しぶりに見てみようと思ったら読み込めなくなっていたということもそんなに珍しいことではない。 他にも見れるには見れるが何か変な色の線が入っている、などということもある。
自身の経験では過去に10年以上かけて撮影した数万枚の写真データにアクセスできなくなったことがある。 もう生きた心地がしなかった。 後述するが、その時は幸いにもデータ復元ソフトで大半のデータを復元できた。 しかし中には運悪く復元できなかったデータもあった。
そんな時に必要になってくるのがバックアップデータだ。
大切なデータが消えてしまうリスクを少しでも減らすためには、まずデータを2ヶ所以上に分散して保管することが大切だ。 2ヶ所以上に同じデータがあれば、万が一その一方にトラブルがあった場合、それ以外の場所にあるデータから復元することができる。
その方法はいろいろとあるが、比較的お手軽な方法をいくつか挙げてみる。
自分の場合はHDD2台をミラーリングした上で、さらに同じデータをAmazon Photosにバックアップしている。 後で詳しく書くが、Amazon PhotosのクラウドストレージはPrime会員であれば写真限定ではあるものの容量無制限でアップロードできるので、写真の保管場所として非常に重宝している。
複数のHDDにミラーリングして写真を保存する場合はFree File Syncなどのファイル同期ソフトを使ってHDD内のデータを同期する方法がお勧めだ。 RAIDを組むのも良いが、ある程度の知識や専用のHDDケースなども必要になるのであまりお手軽とは言えない。
Free File Syncは日本語にも対応したフリーソフトだ。 HDD丸ごとだけではなく一部のフォルダだけを同期するなどといった使い方もできる。 使い方を紹介しているサイトも多いので調べてみるといいだろう。
定期的にDVDやBDなどにバックアップを取るのも良い。 この時できれば同じデータを保存したディスクを2枚ずつ作りたい。 光ディスクも様々な要因で読み込めなくなることがあるので、特に大切なデータは2枚以上に分けてバックアップしておくと良い。
また光ディスクにバックアップしたからといって元のHDDから消してしまうと、万が一光ディスクが読み込めなくなった場合にデータが失われてしまう。 HDDの容量に余裕があるならそちらにもデータを残しておいた方が良いだろう。
そしてもっともお勧めしたいのがこのAmazon Photosだ。
Amazon PhotosはAmazonが提供する写真向けのクラウドストレージだ。 Amazonの会員なら誰でも無料で5GBまで使用することができ、さらに月額料金を支払うことで容量を追加することができる。
さらにPrime会員なら写真に限り容量無制限で何枚でもアップロードできるという素晴らしいサービスをおこなっている。 1TBでも2TBでも3TBでも、それが写真データであればいくらでもアップロードできるのだ。
もちろんPrime会員になるためには月額料金がかかるが、その金額は月々数百円程度に過ぎない。 当然このAmazon PhotosだけでなくPrime会員向けの様々なサービスを受けられるので、それを考えれば安すぎると言っても良い。 いきなりPrime会員になるのはちょっと、という人はまず無料で使える5GBから試してみよう。
なおPrime会員であっても写真以外のデータに関しては容量に制限を受けるので注意が必要だ。 無制限なのはあくまでも写真データだけとなる。
他にも便利な点がある。 Amazon Photosが言う「写真データ」には写真のRAWデータも含まれるのだ。
RAWデータはどうしても容量が大きく、例えば自分が今使っているカメラでは1枚で50~60MBの容量がある。 20枚程度で1GBになり、2,000枚撮れば100GB、20,000枚で1TBにもなってしまう。 20,000枚も撮るのかと思うかもしれないが、本格的に写真をやるようになると20,000枚などそれほど大きい数字ではないと気付くことになる。
そのRAWデータまでもが容量無制限の範疇に含まれるので、写真データのバックアップ場所として便利なことこの上ない。
こうしたクラウドストレージのメリットのひとつに「物理的に自宅と離れた場所にデータを保管できる」というものがある。
例えば自宅でHDDを何台も用意して厳重にバックアップ環境を整えたとしよう。 しかしそれらが物理的に一ヶ所に存在していたら、地震や火災、あるいは落雷などでまとめて破壊される可能性がある。
これを自宅とクラウドストレージで物理的な保管場所を分けていれば、全滅のリスクを大きく減らすことができる。
しかもそのクラウドストレージの物理環境を大企業が管理してくれるというのはそれだけで安心感がある。
自分ではHDDを2台用意してミラーリングしていると書いたが、そこに何かトラブルが発生した時は自分で全て解決する必要がある。 HDDを買い直すのだって1台数万円はするし、それを交換する手間やデータを入れ直す手間なども考えればかなりコストの高い作業となる。
Amazon Photosを始めとしたクラウドストレージなら、そういった物理的な環境のメンテナンスも全て専門の人間が24時間365日対応してくれる。 わずか月々数百円の利用料を支払うだけで面倒な管理を全てやってくれるのだから有難いと言うより外ない。
上でも書いたように、Amazon Photosを容量無制限で使用するにはAmazon Primeの会員になる必要がある。 Prime会員には無料体験期間も用意されているので、気になる人はまずはそこから始めてみよう。
時にはバックアップをしていないのに元データのあるHDDが読み込めなくなった、という恐ろしい状況に陥ることもある。
その場合、原因にもよるが運が良ければデータ復元ソフトを使うことである程度のデータを復元することができる可能性がある。 あくまでも「ある程度のデータ」を「復元できる可能性がある」のであって、何もかもが戻ってくるとは期待しない方が良い。 それでも全てのデータが失われることを考えれば試す価値はあるだろう。
自分が使用したのはEaseUS Data Recovery Wizard Proというデータ復元ソフトだ。 これを使うことで結果的にデータの9割以上を取り戻すことができた。
本格的にデータを復元する場合は有料のライセンスを購入する必要があるが、まずは機能制限付きの無料版で試すことができる。
無料版でもデータが復元可能かどうかを判断するところまでは可能なので、そこで復元可能と判断したらライセンスを購入すればよい。
繰り返しになるが、重要なのはデータ喪失の危機に陥る前にしっかりとバックアップ環境を整えておくことだ。
デジタルデータは一度失われてしまえば二度と復元することはできない。
作り直しのきくデータならまだ良いが、写真の場合は二度と同じシーンを撮ることはできない。 そんなデータを万が一にも失わないために、何かある前にしっかりとバックアップ環境を整えておこう。