太陽の反対側に現れた彩雲
光環、あるいは光冠という自然現象をご存じだろうか。
このように太陽や月の手前に薄い雲が重なった時、そこに虹色の輪が現れるものだ。 通常はこの写真のように虹色の輪が太陽や月を中心として同心円状に現れる。
しかし一度だけだが、ほぼ緑色だけの光環を見たことがある。
それを見たのは冬の知床峠だった。
良く晴れた日だったが、昼頃になると徐々に薄い雲が峠の向こうから流れてきた。 いかにも光環が出そうだなという条件で、期待通りそれが姿を現した。 しかしそれは見慣れた虹色の輪ではなく、なぜか緑色の輪になっていた。
少しすると雲のかかり方が変わったせいか、よく見るような色合いの光環に変わった。 色の出る場所などからしても、緑色のものも光環であったことは間違いないと思う。 ただその色だけが見慣れないものだった。
なぜ一時的とはいえ緑色だけの輪になったのか、原因は良くわからない。
光環は空気中の細かい水滴によって光が回折することで見られる現象だが、緑色だけが特に見えやすい条件が偶然出来上がったのかもしれない。 もしかしたら条件次第では他の色単体の輪が出ることもあるのだろうか。
緑色の光環も結局この一度だけで、それ以降は通常の虹色の光環しか目にしたことがない。 きっとかなりの偶然が重なったのだろう。 また似たようなものを見てみたいものだが、果たしてそんな幸運が二度もやってくるものだろうか。
それでも出会えることがあれば、是が非でも作品に仕立て上げてやりたいものだ。