そう感じることが時々ある。
一般的には順光や斜光で撮る方が写真としてはわかりやすく綺麗なものが撮れることが多い。 しかしシーンによっては逆光だからこそ、逆光でなければこの絵は撮れない、というシーンがあることも確かだ。
自分がよく撮影する逆光シーンとして、植物の花や葉を光に透かして撮影するものがある。
例えば紅葉しているカエデの葉を逆光で見て、光が透けて綺麗だなと感じたことはないだろうか。 被写体にもよるが、中には順光で見るよりも逆光で光に透かした方が鮮やかな色に見えるものも意外と多い。
上のカエデの写真など、現物を順光で見るとくすんだ赤をしていてそこまで鮮やかで綺麗だとは感じなかった。 しかし逆光で見ると光に輝いて鮮やかな赤い色が見えるのだ。
要するに逆光を天然のバックライトとして利用するわけだ。 暗い色をしているものに逆光のバックライトを当てて明るく鮮やかに際立たせる。
そうやって様々なものを光に透かして観察していると、思いもよらない美しい色に出会えることがある。 これが逆光の醍醐味のひとつだ。
もうひとつ逆光が生きるシーンとして、シルエットを表現するものがある。
逆光のシーンでは光が強すぎるため、逆に影はより濃く写る。 その影の部分をシルエットとして生かし、作品に仕上げるわけだ。
「逆光で撮ると被写体が黒く写っちゃうから嫌だ」という人もいるが、それだけの理由で逆光を忌避するのはもったいない。 人間の想像力とは面白いもので、細部のわからないシルエットからでもその状況を想像して読み取ることができる。 むしろ細部が見えないからこそ想像力が働き、より強く興味を引くという見方もできる。
もちろん記念写真などで人物をはっきり写したいようなシーンなら逆光は避けるべきだが、そうでないなら積極的に逆光で撮影してみるのもまた面白いはずだ。
現代のデジカメではフィルム時代ほど撮影枚数を気にする必要はない。 仮に失敗写真になったとしてそれでお金が無駄になるわけではないのだから、積極的に撮影に挑戦していくべきだろう。
「逆光だから」で最初から諦めるのではなく、「逆光だけど」と取り敢えず撮ってみることをお勧めしたい。
恐らく最初の内はその大半が失敗写真になることだろう。
でもそうしているとその内「逆光だけど魅力的な写真が撮れた」と思えるものがいくつか出てくると思う。 そうしたら、何故その写真が魅力的に写ったのかを考えてみて、次からは意識してそのようなシーンを狙っていこう。 そうやって繰り返していく内にだんだん逆光シーンの撮り方がわかってくるはずだ。
逆光は扱いが難しいが、そこには様々な可能性が詰まっている。
安易に切り捨ててしまうにはもったいない存在なのだ。