例えばデジカメやレンズを購入店から修理に出したとする。 この時その修理品が必ずしもメーカーに送られるとは限らない。 場合によってはその店が提携している、メーカーとは関係のない修理業者に送られる場合がある。
それの何が問題なのかと思うかもしれないが、自分は以前そこを蔑ろにしていたせいで酷い目に遭ったことがある。 その経験談を交えつつ、撮影機材を修理に出す際の注意点をまとめていきたい。
言うまでもない事かもしれないが、メーカーと修理業者の違いを簡単に確認しておく。
メーカーはmakerという言葉からわかるように、デジカメなりレンズなりといったその製品を製造した業者だ。 多くのメーカーでは自社の製品を修理するための専門の部門を設け、アフターサービスをおこなっている。
対して修理業者はメーカーとは関係なく(メーカーと連携している場合もあるかもしれないが)修理を請け負う業者だ。 メーカーでは自社製品しか扱わないのに対し、修理業者は様々なメーカーの製品を扱っている。
以前、一眼レフのデジカメを購入店から修理に出したことがある。
その頃はまだ修理品の送り先など意識していなかったので漠然とメーカーに送られるものと思い込んでいた。 しかし実際は提携する修理業者に送られており、そして修理を終えて返ってきたカメラは修理前より不具合が増えていた。
7万円以上の金をとっておきながらこれだけ多くの不具合が増えて戻ってきたのだ。 誤解がないように言っておくが、これは修理を依頼した部位が直らないまま戻ってきたわけではない。 修理箇所に関係のない正常だった部分がおかしくなった状態で返却されたのだ。
この時は都合3度再修理をさせ、それでも元の状態に戻らない部分があった。 再修理自体は相手の不手際なので無料だが、何しろ預けている間はまったく撮影ができなくなってしまう。 これ以上この業者にカメラを触られるのが嫌だったので高い授業料だったのだと思い諦めることにした。 今思えば金を返せと言えばよかったかもしれない。
まっとうな修理業者の名誉のために言っておくが、もちろん全ての修理業者がポンコツなわけではない。 しかし修理業者の技術にムラがあることは否めない。 だがそれも考えてみればある程度仕方のないことでもある。
修理業者は多数のメーカーが発売している膨大な種類の製品の修理を請け負っている。 構造も使用部品も制御プログラムも何もかもがメーカーごとに違うし、なんなら同じメーカーでも機種によって様々な違いがある。 それらを問題なく修理するというのが難しい作業だというのも理解はできる。
しかしだからと言って雑な仕上がりで返されては困るのだ。
特にカメラ本体やレンズなど、極めて高い精度を要求されるものに関してはその製品を作ったメーカーに修理に出すのが良いだろう。
メーカーにとっては自社の製品なので、それに対する情報も技術も間違いないものを持っている。 何より自社の製品をまともに修理できないなどという無様を晒すのは製造者のプライドが許さないだろう。 そう考えればやはり修理は製造メーカーに出すのが一番だ。
ただ、メーカーも万能ではないので修理できない場合もある。
特に古い製品になるともはや交換用の部品が製造終了になっていたりして修理できないことも珍しくない。 こうした場合、外部の修理業者が部品の在庫を持っている場合がある。 メーカーで修理不能と言われた場合は、そういった修理業者をあたってみるのも良いだろう。
購入店などの窓口から修理に出す場合、まずは修理品の送り先を確認しよう。 何も言わずに修理に出した場合、店によっては修理業者に送られる場合がある。 その場合はこちらから明確にメーカーへ送ってもらうようにと伝えよう。
まずないとは思うが、万が一メーカーに送ることはできないと言われた場合は、メーカーへの直接送付という手段も考慮しよう。
メーカーによっては修理品の直接送付を受け付けているところもある。 自分がお世話になったことがあるのは以下のメーカーだ。
この場合基本的に送料はかかるが、店舗を通さず確実にメーカーに修理を依頼することができる。 メーカーによっては保証期間内の故障に限り送料も負担してくれる場合があるのでメーカーごとに確認してみるといいだろう。 修理完了後には直接送り返してくれるので店舗へ取りに行く手間もなくスムーズに修理品を受け取ることができる。
カメラやレンズは精密機械なので故障は避けて通れないとも言える。 しかしそれらは修理が可能な場合も多く、適切に対処していけば長く使っていける道具でもある。
こうした道具は元が高価なだけに修理も高価になりがちだ。 だからこそ人任せにせずに修理の流れもしっかり自分で把握するよう心掛けていきたい。