写真に限った話ではないが、保存していたデータがいつの間にか壊れていたり消えていたりして見ることができなくなっていた、ということがある。 デジタルデータは様々な要因である日突然消滅することがある。
自身の経験では過去に10年以上かけて撮影した1万枚以上の写真データにアクセスできなくなったことがある。 幸いにもデータ復元ツールが効く状態だったので9割9分のデータは取り戻すことができた。 しかし復元できなかったデータの中にはかなりお気に入りの作品も含まれていた。
このようにデジタルデータは一度失われてしまえば二度と取り戻すことができない。 この経験をきっかけにバックアップについて真剣に考えるようになった。
結論から言えば最終的に選んだのはAmazon Photosだ。
Amazon PhotosはAmazonが提供する写真向けのクラウドストレージサービスで、Amazonの会員なら誰でも無料で5GBまで使用することができる。 さらに月額料金を支払うことで容量を追加することもできる。
そしてAmazon Prime会員なら写真に限り容量無制限で何枚でもアップロードできるという素晴らしいサービスをおこなっている。 1,000枚でも2,000枚でも3,000枚でも、あるいは1万枚でも2万枚でも、それが写真データであれば容量に制限はないのだ。 実際に自分では現在4万枚以上の写真をAmazon Photosに保存しているが、かかる費用はAmazon Primeの月額料金のみ。 他に追加料金は一切発生しない。
さらに嬉しい点として、Amazon Photosが言う「写真データ」には写真のRAWデータも含まれるのだ。
RAWデータはどうしても容量が大きく、例えば自分が今使っているカメラでは1枚で50~60MBの容量がある。 20枚程度で1GBになり、2,000枚撮れば100GB、20,000枚で1TBにもなってしまう。 20,000枚も撮るのかと思うかもしれないが、本格的に写真をやるようになると20,000枚などそれほど大きい数字ではないと気付くことになる。
そのRAWデータまでもが容量無制限の範疇に含まれるので、写真データのバックアップ場所として便利なことこの上ない。
なおPrime会員であっても写真以外のデータに関しては容量に制限を受けるので注意が必要だ。 無制限なのはあくまでも写真データだけとなる。
こうしたクラウドストレージのメリットのひとつに物理的に自宅と離れた場所にデータを保管できるという点が挙げられる。
例えば自宅でHDDを何台も用意して厳重にバックアップ環境を整えたとしよう。 しかしそれらが物理的に一ヶ所に存在していたら、地震や火災、あるいは落雷などでまとめて破壊される可能性がある。
これを自宅とクラウドストレージで物理的な保管場所を分けていれば、全滅のリスクを大きく減らすことができる。
しかもそのクラウドストレージの物理環境を大企業が管理してくれるというのはそれだけで安心感がある。
Amazon Photosを使うようになる前はHDDを2台用意してミラーリングしていたのだが、そこに何かトラブルが発生した時は自分で全て解決する必要があった。 HDDを買い直すのだって1台数万円はするし、それを交換する手間やデータを入れ直すのにかかる時間なども考えればかなりコストの高い作業となる。
Amazon Photosを始めとしたクラウドストレージなら、そういった物理的な環境のメンテナンスも全て専門の人間が24時間365日対応してくれる。 わずか月々数百円の利用料を支払うだけで面倒な管理を全てやってくれるのだから有難いと言うより外ない。
大量の写真データの管理に困っている人にとってはまさに福音とも言えるこのサービス。 上で書いたように写真を無制限に保存するためにはAmazon Primeの会員になる必要があるが、それだけの価値はあるだろう。 Prime会員には無料体験期間も用意されているので、気になる人はまずはそこから始めてみてはいかがだろうか。
時にはバックアップをしていないのに元データのあるHDDが読み込めなくなった、という恐ろしい状況に陥ることもある。
その場合、原因にもよるが運が良ければデータ復元ソフトを使うことである程度のデータを復元することができる可能性がある。 あくまでも「ある程度のデータ」を「復元できる可能性がある」のであって、何もかもが戻ってくるとは期待しない方が良い。 それでも全てのデータが失われることを考えれば試す価値はあるだろう。
実際に自分がその状況に陥った際はEaseUS Data Recovery Wizard Proというデータ復元ツールを使うことで9割9分のデータを取り戻すことができた。
本格的にデータを復元する場合は有料のライセンスを購入する必要があるが、データの復元が可能かどうかを判断するだけなら機能制限付きの無料版で試すことができる。 復元が可能だと判断したら有料のライセンスを購入すれば無駄がない。
しかし最も重要なのは、データ喪失の危機に陥る前にしっかりとバックアップ環境を整えておくことだ。
デジタルデータは一度失われてしまえば二度と復元することはできない。
作り直しのきくデータならまだ良いが、写真の場合は二度と同じシーンを撮ることはできない。 そんなデータを万が一にも失わないために、何かある前にしっかりとバックアップ環境を整えておこう。